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2014CA中韓留学体験レポート

 今回キャンパスアジアの中韓ワークショップを通じて多くのことを経験し、また多くの人と出会うことで自分の中国や韓国についての認識が間違っていたことに気付くことができた。出発の日、私は新幹線の中で日本と中国と韓国の三か国間の様々な問題、例えば従軍慰安婦の問題や領土問題について調べ、中国と韓国の大学生との交流で国際問題について話し合う時のために準備していた。国際問題について調べていくうちに、多くの問題は両国間の認識の違いであり、それに対して互いに全くの譲歩をしようとする意志がないために、問題が解決しないという結論に至った。私は日本人であり、日本の教育や報道から得られる情報によって自身の知識を増やしてきた。得られた情報の多くは日本語で書かれたものや、外国語から日本語に翻訳されたものであり、日本人目線で書かれたものであった。それにもかかわらず、私はこれらの情報が絶対的なもの、正しいものとして考えていた。今回のワークショップを通して、私の得た知識や考え方の多くは日本の主張のみを重視しており、中国や韓国の主張が間違っていると決めつけているものだと気付いた。中国には中国の、韓国には韓国の歴史的解釈がある。立場が違えば行為そのものの見方が変わることを実感した。例えば、釜山の国立博物館に展示されていた日本に関する記述の多くには、韓国側からの立場で見た日本からの侵略行為について、かなり過激な表現を用いながら説明がなされていた。韓国側の立場から見ると非常につらい経験である一方で、日本側にとってはそれほど大きな出来事ではなかったように扱われている。日本側はこのことに関してあまり重要視していないし、強い表現の言葉での教育はなされていない。このような両国の認識のギャップが国際問題でも非常にややこしくしている要因ではないのかと思われる。私にはどちらの主張が正しいかどうかは全く分からないが、少なくともその両方の主張は知っておくべきものであり、日中韓の国交を改善するためには必要なことだと思う。相手の主張を知り、理解することが関係を友好に保つ唯一の方法だと私は考えるからだ。中国行の船の中で「共通善」について質問されたとき、私は共通善とは「妥協点を見つけること」と答えた。今思い返せば、この考えは少し間違っていたように思う。出発の日の私は日本人という一方的な立場から見て、相手のわがままに近い主張に対して上から目線で「妥協する」ことだと考えていた。この考え方では共通の理解を得ることは難しい。対等な立場に立たない限り、本当の理解などあり得ない。ワークショップを終えて今思うのは「共通善」とは両方の目線から物事を見て、互いのことを知り、理解したうえで、お互いの共通点を探すことによって得られるものなのではないかということである。

 また、今回のワークショップを通して、私には知りたいことがあった。それは日本で報道されている反日感情が存在し、多くの人々が反日感情に賛同しているのかどうかである。私のグループの人も同じような疑問を持つ人が多くいたため、ワークショップを通してそのことについて調べることにした。テレビの報道や、ネットで流れている情報はまるですべての人が私たち日本人に対して嫌悪感を持っているかのようであり、そのような情報のため多くの人が中韓に対してあまりいい印象を持ってはいなかった。私自身、通っていた学校には多くの在日韓国人・中国人の友人がおり、彼らの多くは非常に友好的で親しみやすかった。そのため、テレビで見るような反日感情を持つ人が大多数なのかどうかがすごく疑問だった。今回のワークショップは、その自分の中の消化しきれない疑問について、私なりの答えを実際の経験を基に解決するという目的も含んでいた。

 中国での経験は私の中国に対する認識を大きく変えた。テレビから得られた中国のイメージは発展途上の国であり、反日感情の渦巻く危険な国というものだったが、私が経験した中国は完全に違っていた。日本と変わらないほど、多くのビルが立ち並び、街中であう人々はとても気さくで話しやすい人が多かった。企業訪問では、中国で実際にビジネスをしている方に話を聞くことができた。UNIQLOのジーンズ工場で働く方に反日運動による弊害を受けたことがあるかと尋ねてみたが、意外なことに反日感情による弊害は全くないという答えが返ってきた。その一方で、実際に反日運動によって一時営業不可能な状態に追い込まれたイオングループの方は反日運動の影響で集客が2割ほど減少してしまったと教えてくれた。しかしながら、イオンの代表の方が言うには、反日感情のはけ口としてたまたまイオンが被害を受けただけであり、ビジネスに関して、中国では反日感情は全く関係ないとは言えないものの、それほど大きい影響力を持ってはいないとのことだった。

 韓国での経験も非常に有意義だった。中国であまり感じることのなかった反日感情を直に感じることができたからである。最も驚いたのが反日感情を前面に出した展示物が博物館に飾られていたことである。私たちが見学した釜山近代歴史館には日本と韓国の国交の始まりから戦時中の出来事を非常に強烈な言葉で説明されている展示物が目立った。普通の日本語訳なら使用されないような言葉を用いて記述されている展示を見ていると日本人としてなんともやるせない気持ちにならざるを得なかった。韓国側からみると日本の行いは非常に耐え難かったものであり、それに相当する言葉を素直に用いただけなのかもしれない。それでも今まで詳しく学んだことのない歴史的な事実に関する事柄であったため、素直には受け入れることが難しく、韓国側の誇張表現であるのではないかと疑うほどだった。博物館が非常に反日的である一方で釜山の人達は非常に友好的だった。市街地に行くと、多くの人が簡単ではあるが日本語を話すことができ、日本人に慣れている様子であった。また、東義大学の学生との交流である学生に日本との外交について尋ねた所、「個人間での交流はいいと思うが、国家間の交流は話にならない、政治家が悪い」との意見が返ってきた。これらの韓国で得た経験からは、個人レベルではあまり反日というものはないが、外交面になると反日感情が出てくると言った印象を受けた。外交に関して、ただ単に政治家が悪いと言ってしまうのは簡単である。しかし、元を正せばその政治家を選んでいるのは私たちであり、その私たちが全く韓国との歴史問題に興味がないのは非常に問題である。私たちはもう少し深く近隣諸国との歴史問題について学ぶ機会を持ち、自分の意見に沿った政治家を選べるように、両国の歴史にも政治にも関心を持たなければならないのかもしれないと思う。

 今回のワークショップでは私の疑問に対する明確な答えは出なかった。なぜなら、私たちが見たものは巨大な中国と言う国家のほんの一部分だけであり、また出会った人々はたくさんいる人々の中でも日本語専攻の学生と言うほんの一部の人々に過ぎないからである。また韓国に関しても同じことが言える。それでも自分の経験したことや学生間交流を通して、自分なりに何をすべきかの答えは見えてきた気はした。私には全くと言っていいほど近隣諸国に関しての知識を持っていない。また彼らと交流するのに必要な韓国語や中国語が十分ではない。今はまだ何もできないけれども、残された大学生活をかけて知識と言語能力を習得しようと思う。その上で彼らとの交流を持ち自分なりの答えを出そうと思う。

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