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2014 CA中韓ワークショップレポート

 私はこの留学体験ワークショップで様々なものを吸収できたと自負している。現地を訪れたからこそ得られた知識や発見,経験。そして学部や年齢の異なる参加者との触れ合いを通して半ば漫然と過ごしていた春休みに大いなる刺激を与えてくれた。アジアに興味を抱いていたこと,そして基本的に旅費が無料であることも手伝いこのWSに参加させていただいたが自分の予想通り,いやそれ以上に有意義な研修であった。一年間中国語の講義を通して学んだ中国はもちろんのこと,韓国についても理解を深めることができた。渡航前は何だかピンとこない共通善というワードについても,日中韓の関わり合いを模索する中で少しながら近づけたのではないかと思う。このWSで得た経験や感じたことを整理しつつ,自分なりに共通善について述べさせていただきたい。

 まず初めに,このWSに参加した動機と渡航前の中韓両国に対するイメージをもう少し詳しく述べたい。前述したように私がこのWSに参加した大きな理由のひとつはアジアに興味を抱いていたことである。日々成長を遂げる東,東南アジアの経済や工業,文化に現在の日本には無いエネルギーを感じられるためである。私が生まれる以前に日本が経験した高度経済成長とバブル崩壊の話題を大学に入学して以来講義や就活の面を通して触れる機会が増えたことが影響しているのかもしれない。とりわけ中国に対しては人口世界第一位,国土が広い,経済成長が著しいといった断片的なイメージを抱いていただけであったが,一年間の中国語の講義を通して言語や文化,国家の成り立ちや美しい自然など様々なことを学習した。講義の先生は日中関係の悪化を憂いておられたが,両国の関係は互いのさらなる成長に必要不可欠であるということを力説しておられた。WSに参加して自分なりに感じたことや考えたことをまとめることができればと思っていた。韓国についても日本に次ぐアジアの経済成長国として位置づけており,電化製品や自動車,船舶などの工業面において発達していると考えていた。その他にも韓流スターや化粧品,韓国料理など日本とは深い関わり合いがあると認識していた。また日中韓の問題点も意識していた。中国ではPM2.5による大気汚染や尖閣諸島問題,所得格差。韓国では従軍慰安婦問題や竹島(独島)問題,日本海呼称問題。両国に関しては靖国神社参拝問題そして反日感情である。主にこれらの問題点はあくまでマスメディアによる報道によって得た情報であり,WSで現地を訪れ実際に自分の目で様々なことを体感し,判断しようと考えていた。

 まずは中国・青島での話をしよう。青島市街の建築や工業について日本とは異なっている点,または使用目的や用途が不明な構造物や仕組みなどが多くあり,驚いたのと同時に自分の専門分野である工学との関わりを意識することができた。マンションにベランダがないことや地中に埋められた電線,上下水道の未整備に伴う雨水や汚水のマンホールの少なさ,空調の室外機の設置の安全性など日本では考えられないような状況を多く目にした。一方でドイツの植民地であった青島の旧市街地は中国とは思えない街並みを成しており,見学した青島ビール工場と併せて日本に居てはなかなか感じることのない植民地支配の影響を垣間見ることができた。また同時に日本では沖縄や横須賀がそのような影響を受けているのだろうかと考えを巡らせた。日を改めて行った青島イオンの企業視察では反日感情の高まりを受け,店舗が破壊されたデモの実態を紹介していただき現在でも客足が戻らないこと,売上が落ち込んでいることなど少なからず影響を受けていることが理解できた。その一方で業績回復に向けて尽力されている日本人の方や,流暢な日本語を話しておられた中国人のスタッフの方を拝見し日系企業と中国の,そして日本と中国の関係は今なお強固なものなのだとも理解できた。私自身青島に3日ほど滞在したが視察地や市街地,ホテル,レストランなどで反日を意識したことは全く無かった。

  青島で私が一番印象に残ったトピックは中国海洋大学での講義と学生交流である。正直に言えば,学生交流を行う以前は市街地見学や企業視察に興味があったので学生交流にそれほどの重きを置いてはいなかった。しかし実際に現地の学生と話し,海洋大学を案内してもらいとても貴重な体験ができた。日本留学の話など様々な話題に花を咲かせることができ自分の視野の拡大,そして異文化理解の一助になったのではないかと思う。講義をしていただいた海洋大学の先生のお話では互いに尊重し,認め合うことが長期に渡る友好の礎となるということであり,マスメディアによって報道されているのは中国での出来事のほんの一部で,実際には親日である方がたくさん居られるとも仰っていた。

 続いて韓国・釜山での話をしよう。釜山市街の印象として街の整備が近代的に行われていると感じた。港湾部分は高層ビルが建ち並び,ホテル周辺や光復路周辺のテナント群は日本を感じさせるような街並みであった。地下鉄も整備されており,ソウルに次ぐ韓国第二の都市として経済,工業,交通の要衝として発達していると感じた。また,青島と同様にトイレの下水道が整備されていないことに驚かされた。先程も述べたように韓国第二の都市として目覚ましい発展を遂げている釜山がこのような状態とは全く想像していなかったためである。ルノーサムスン自動車の視察では自動車の部品の組み立てや検査など普段はなかなか目にすることのない工程を拝見することができた。ルノーやサムスン,日産の合弁工場だということであるが現代のグローバルな世界で事業を展開するには国家間の関係が必要不可欠なのではないかと考えた。現地では市街地を走る日本車はまだまだ少なく,今後は多くの日本車が釜山市街を走行することを期待している。青島と同様に釜山では東義大学で講義を受け,学生交流を図ることができた。講義では植民地支配や慰安婦問題,領土問題,靖国問題,嫌韓流などについて触れられ,日韓両国の間に様々な問題が生じていると再認識した。学生交流では日本に対するイメージや日本語の学習を始めた理由などを尋ねることができた。中でも中国に対してあまり良いイメージを抱いていない学生が居たことには少しばかり驚いた。漠然と日韓の関係よりも中韓の関係の方がより強固だと考えていたためである。日中韓3か国の学生が一同に交流を図る機会があれば東アジアの関係についてより深く模索することができるのかもしれない。

 釜山で一番印象に残ったことは訪問した忠烈祠や釜山国立博物館において歴史に対して捉え方や伝え方が日本とは異なっていると感じた点である。博物館では日本が朝鮮半島を侵襲したとの表現が繰り返し用いられており,忠烈祠に飾られた戦図では文禄の役で日本の兵が朝鮮の兵に倒される描写がほとんどでその逆を見つけることはできなかった。釜山を訪問して日本が韓国を植民地支配していたことや文禄の役で釜山を攻め入ったことなどを深く考えさせられた。日韓両国の間で起きた事柄について勉強不足であったことを痛感し,学習しなければならないという思いに至った。歴史認識について両国でずれや違いは存在すると考えられるが釜山ではあのように捉えられ,伝えられていると知るよい機会となった。両国の間で認識の違いが生じていること自体をより真剣に受け止め,それを自らのレベルにまで落とし込み,考えを巡らせることが必要なのではないだろうか。

 以上青島と釜山で得た経験や発見,感じたことを述べたが,結論としてこの8日間のWSで“共通善=○○”と定義することはできなかった。しかし私が考える漠然としたイメージでは共通善とは日中韓の東アジア3か国が現状を打破し,互いに僻み合うことなく円満な状態になったことを指す言葉なのではないかと考える。今後もCAのプログラムを通じて今回のWSでは突き詰めることのできなかった共通善について探っていければと思う。

 最後ではあるが今回の素晴らしいWSを企画,運営して下さった岡山大学キャンパス・アジアのみなさん,そして快適な旅をサポートして下さった旅行会社のみなさん,このWSに携わって下さった全ての方に感謝したい。

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