学習レポート

Students' Report

Home  >  学習レポート  >  セミナー・ワークショップ  >  2014CA中韓ワークショップレポート

Students' Report 学習レポート

セミナー・ワークショップ

 

2014CA中韓ワークショップレポート

 留学体験ワークショップの一週間の時間の使い方としては,大きく2つに分けられます。それは研修と自由時間です。この両方が充実したものだったので,一週間がとても濃いものでした。

 1日目と2日目の午後まではフェリーの中で過ごしました。船での移動では,下関から中国の青島までがとても遠く感じられます。飛行機がなかった時代に日中交流に要した航海時間の長さと,日本という島と中国のある大陸までの遠さに思いをはせる機会となりました。1日目にはCAワークショップの1回目として「日中韓の“共通善”とは?」というタイトルで班ごとの研修の目標を設定しました。今回の研修では,留学体験の中で日中韓の共通善について学ぶことが目標です。現在,日中韓には環境問題や政治問題など,多くの問題があります。その中で,私が参加していたDグループでは,経済面に焦点を当てて共通善を見つけていくという目標にしました。こうした目標設定があったからこそ,一週間がとても内容のあるものになりました。

 また,この日の夜には,私の心に残ったイベントがありました。それは,フェリーならではの交流であるカラオケです。フェリーの乗客なら誰でも参加できる気軽なもので,ラウンジで行われました。乗客としては日本人以外に,中国人や英語圏の方もおられました。カラオケには日本の歌も中国の歌も用意されており,みんな思い思いに歌っていました。歌い終わった方に対しては自国・他国に関係なく,ラウンジの皆から惜しみない拍手が送られており,あたたかい気持ちになれました。私は中国の歌どころか中国語も勉強したことがなかったのですが,『十一年』(作詞:哥我餓)という中国の歌に聞き惚れ,中国語に関心を持ち始めました。

 2日目には,CAワークショップの2回目と3回目があり,午前中に大林先生と云先生の「中国語・文化講座」を受け,午後に大林先生と脇本先生の「韓国語・文化講座」を受けました。青島と釜山の歴史や文化を学び,第一次世界大戦あるいは第二次世界大戦を通して日本とのかかわりが長いことも知りました。

 3日目と4日目は青島に滞在し,五四広場,八大関歴史別荘区,小魚山公園などの市街見学,青島ビール工場見学,茶芸体験,綺麗グループ青島工場でのUNIQLOジーンズ生産見学,青島イオングループ後藤社長のお話の拝聴など様々な体験がありました。中国の歴史や文化,そして現在の経済的発展などを知り,これまでメディアを通したイメージでしかなかった中国の実情をわずかに認識できました。

 中国東洋大学を訪問したとき,共通善の重要性を強く感じることになりました。はじめに王先生から「東アジアの相互理解について」という講義を受けました。孔子の教えを例にしながら,個人と個人の対話においても,国と国との外交においても,お互いを尊重し合うことが大切だと教えて下さりました。良くも悪くも相手に対して自らが勝手に抱いているイメージを正確な認識に変えるためにも,相手を尊重し文化や価値観を受け入れることが大切だと私も思います。学生交流では大学院の女性と交流をしました。会話がとても盛り上がるなか,靖国神社問題について彼女の貴重な意見を聞くことができました。この話を聞くときはとても緊張しました。このようなデリケートな問題について意見をきかせてくれた彼女に感謝するとともに,この問題は私個人の域を越えていて,中途半端に返事できないうえ,国が抱える問題の大きさが身にしみました。日本側の認識と中国側の認識が一致するまでこの問題は解決されません。それゆえ私は日中韓の共通善の必要性を実感しました。

 夕方からは自由時間だったので,ショッピングセンターや本屋に出向きました。団体行動で施設を見学する時とはまた違い,中国国民の生活環境に身をおくことができました。そこでは,良い経験もあれば,逆にマナーやトイレ事情など,戸惑ってしまうような経験もありました。例えば,ある食堂では,返却口がないため,食事を終えた客は使用したトレーや割り箸をそのままテーブルに置き帰り,テーブルの上も下も残飯で汚れていました。しかし一方で,中国語が不慣れな私たちのために,私たちの注文した食べ物をわざわざ持ってきてくれる優しい定員さんもいらっしゃって感謝しました。良い・良くないと感じるのは,無意識に日本での生活と比べていたからなので,そういう考え切り離して中国や韓国の文化を素直に受け入れて過ごしました。

 5日目,6日目,7日目は釜山に滞在しました。釜山市街の見学,忠烈祠視察,ルノーサムスン自動車の企業視察,東義大学での講義と学生交流,釜山国立博物館見学,茶芸体験など短期間に様々なものを体験しました。韓国で一貫して感じたのは,韓国が日韓の歴史的つながりを非常に重視していることです。韓国で最初に訪れた釜山近代歴史館でそう感じました。まず歴史館の建物自体,日本の東洋拓殖株式会社の釜山支店の時代を経て戦後は米国文化院となった歴史を持っているので価値があります。館内では充実した内容の展示を日本語で見ることができます。日本で習う日本史とは別に韓国で韓国の歴史や日韓関係の変遷を学ぶのは複雑な気持ちがしました。従軍慰安婦に関するビデオはひどく印象に残るものでした。たとえ日本がいくら政治的に解決したと言ったとしても韓国ではこの問題の悲しさや苦しみが受け継がれているので納得することは難しいと思います。最初,市街に日本語で書かれた看板が多いことに驚きましたが,釜山近代歴史館で日本の植民地時代に日本人のために近代施設がつくられていた経緯を知り,その名残なのかもしれないと思いました。

 この一週間,中国・韓国について多くのことを学ぶ機会がありましたが,その学びを忘れずにいられるのは,ツアー日程の節目ごとに行われたワークショップのおかげです。日中韓の共通善に対して意見を持つうえで,中国・韓国で経験したことをふまえて行ったワークショップは非常に役立つものでした。1日目のフェリーで日中韓の共通善を達成するために班ごとで目標を決めました。こうした目的意識があったので,一週間がとても濃いものとなりました。また,ツアーの日程の節目ごとに中国社会・韓国社会に関するワークショップと総括的なワークショップを行ったことに大きい意義を感じました。私個人で得た経験はわずかなものですが,班で各自の得たものを共有することで,最初こそは漠然としたイメージから出発しながらも最終的に班としても個人としても,中国・韓国の考えを知ったうえで,日本人としての意見を持つことができるようになりました。

 学生交流のように「個人‐個人」のつながりでは,国は関係ありません。現状をふまえると今問題になっているのは「個人-社会」の関係です。私たちが解決に取り組めるのは,「個人-社会」の関係の改善だと思います。例えば日本人に「中国のイメージは?」ときくと,これは「個人」が中国という「社会」をどう見ているか,ということですが,答えるときには日本のメディアから得た情報をもとにしていることが多いです。これでは,中国の情報を日本語に翻訳して得るにとどまってしまいます。しかし中国語が読めるなら中国もメディアも利用できて,さらに普遍的な情報を得られます。このようにして正確な情報を持つことで「個人-社会」の関係を正すことができると思います。そのためには歴史・文化・そして言語を学ぶことが大切です。「個人-社会」の正しい関係を持つ人が増えれば増えるほど「社会-社会」の関係も改善されます。これは個人の利益と共同社会の共通利益の同時追求である共通善そのものです。まずは留学体験ワークショップに参加した私たちが歴史・文化・言語を学び三国共生のかけはしとなっていきたいです。

全てのセミナー・ワークショップへ  全ての学習レポートへ

このページの最上部へ