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短期留学プログラム

 

中韓ワークショップを終えて

 

実をいうと、今回のワークショップは友人が応募すると聞いて慌てて応募したに過ぎなかった。そのため最初は自分が海外研修に行くなど思ってもみず、なかなか実感がわかなかった。しかし他の参加者の研修に対する思いを聞いて、自分も参加するにあたり目的を明確化しなければならないと感じた。私は以前から、日本のメディアは安全保障や領土問題といった政治上の問題から、中韓の反日的な報道をすることが多いように思っていた。しかし日本を訪れる中国人、韓国人観光客は多く、日本の食べ物や文化も人気がある。そこで今回の研修では、実際のところ日本がどう思われているのかを知ることを自らの問題意識とした。

私は事前学習で、近年話題となっている慰安婦問題が日本のメディアを通してどのように取り上げられているか調べていた。慰安婦問題に関しては成均館大学校での講義とコリアンタイムズの記者の方との意見交換の中で話を聞くことができた。講師の方は、慰安婦問題は政治的解決が望める竹島問題よりも相対的に難しい問題だと述べていた。そして近頃の少女像騒ぎについては、先走って運動化していて止めようがなくなっていると現状を冷静に分析されていた。私はその件に関して、少女像がなぜ合意後も設置され続けているのか常々疑問に思っていた。しかしその合意があくまで政府間の合意であり、民衆の意見ではないということを教えられた。実際、民衆は元慰安婦が政治的に利用されたと強く反発しており、少女像を通してそれを政府に示しているというのだ。合意に納得していない韓国と問題はすでに解決済みだとする日本の見解の違いは大きい。しかし日本にいるとどうしても日本よりの情報になりがちだ。そこで大切なのはなによりもまず、お互いの立場を理解しようとすることである。これは記者の方も繰り返し述べていたことだ。慰安婦問題をはじめとした日韓問題解決のためには個々人が受け身な態度ではなく、自分で積極的に情報を得ようと努力する姿勢が必要だろう。

韓国では多くの施設を訪れ、様々な角度から韓国の今を知ることができた。「ソウル観光公社」は、“全世界旅行者がまた訪ねたくなる魅力的なソウル”を目指して都市マーケティングを行っているところだった。そこではトレンドを押さえた新コンテンツで新たな観光客を呼び込み、国によってプロモーションの仕方や程度を変えるというマーケティングの工夫について教わった。「自生韓方病院」では手術せずにヘルニアを完治させる薬や記憶力を高める薬といった、優れた効能の薬が安全かつ正確に製造されていることが分かった。それらの薬を作るスタッフの技術力は高く評価され、自信をもって利用者に薬を届けていることも分かった。これら観光と医療を組み合わせた医療観光というものが韓国では推進されており、その代表地ともいえる「江南メディカルツアーセンター」という場所にも訪れた。夕方からの自由時間にはソウルの色々な場所へ赴きおいしいものをたくさん食べることができた。観光地と呼ばれる場所にはきらびやかな電飾が施され、露店が立ち並び多くの人々でにぎわっていた。道中、道を聞くために入ったコンビニやカフェの店員さんが、韓国語が全く分からない私たちにジェスチャーや英語で何とか伝えようとしてくれたのはとても嬉しかった。

研修の後半は中国長春で過ごした。実は中国へ行くことは韓国行きよりも楽しみにしていた面がある。一年を通して初修外国語として中国語を習ったことで中国に興味を持ち始め、実際の中国はどんなところかというのを自分自身で感じてみたい、また習った中国語でどの程度理解ができるか確かめたいという思いがあったからだ。そうはいっても、英語による講義、日本の常識とは違う交通マナーやトイレ事情、その他様々な困難にぶつかった。特に慣れない土地で皆と連絡を取り合う必要がある中、LINEが使えないというのは非常に不便であった。中国ではLINEの代わりにWeChatというものがあり、その利便性については事前に中国の留学生から話は聞いていた。Twitterにしても中国独自のものがあるらしく、中国側は自国のものを使ってほしいという思いなのだろうが、そうしたSNS規制が果たして中国にとってプラスとなっているのかは疑問に思った。各所で見かけた愛国心を訴える看板など、自国を誇り大切に思う気持ちは理解できるがそれが行き過ぎてしまうことには少なからず弊害もあると思う。また個人的なことではあるが、初日にレポートを夜中までやっていていざシャワーを浴びようとしたら、何度試しても水しか出ないうえに部屋も寒くて私は体調を崩してしまった。吉林は寒いということを事前に聞いていたにもかかわらず風邪をひいてしまったのは、自分の体調管理が甘かったせいだと思う。その後部屋の暖房を調整してもらったり、色々な人から気遣う声をかけてもらったりと人の温かさを身にしみて感じた。

中国での研修の中で印象に残ったものが二つある。一つ目は偽満皇宮博物館での研修だ。そこではガイドさんが面白おかしく溥儀という人物について説明してくれた。痔もちでトイレが長いことからトイレ皇帝と呼ばれていたとか、おみくじはいい結果が出るまで引いたなど、中華圏最後の皇帝という肩書きからは想像もつかない人柄を知ることができた。歴代の奥さんの話は非常に興味深く、溥儀が生涯奥さんと寝室を共にしなかったという真実には驚いた。広々とした宮殿を見て回る中で、溥儀は豊かな生活を送っていたようにも思えた。しかし、彼の監視役で実質的な権力を握っていた吉岡という人物の存在、外出の際には警備隊を連れて行かなければならないという決まり、日本が建てた建物には盗聴器がつけられている可能性があったなど、常に自身の行動を監視されているような窮屈な生活を強いられていたのかもしれない。二つ目は赴日学校での授業見学である。そこでは修士課程を終えた人々が文科省の奨学金を受けながら、日本での博士号取得に向けて懸命に勉強していた。そんな中突然やってきた来訪者に戸惑ってもおかしくないのに、学生の方々は私たちに興味津々で話しかけてくれて歓迎してくれたのがとても嬉しかった。実際に授業を見させてもらったのだが、先生の質問にはきはきと受け答えをし、先生の言葉を大きな声で復唱する姿からは本当に学ぼうとする意欲が感じられた。授業で取り上げられていたものに「苦しい」と「苦い」では「し」という一文字の違いで読み方が異なる、「声」の前に「鳴き」がついて「鳴き声」となると読みが濁る、「渇く」と「乾く」の用途分けなどがあったが、こうしてみると日本語は本当に複雑だと改めて考えさせられる。難しい日本語を、それも日本でしか使われていない日本語をここまで熱心に勉強する彼らには、何か日本への強い思いがあるのかと思うと胸が熱くなった。

この研修ではなにより他の参加者の熱意に大変刺激を受けた。行く先々で質問をしては熱心にメモを取る皆を見て、私も自然と学ぼうとする姿勢になっていった。レポートや発表の準備は大変だったが、滞在中に学んだことを頭の中で整理しグループで共有する時間がとれてよかったと思う。自らの問題意識に関して、政治的関係上反日感情は確かに存在するが、それが日本全体に向けられたものではないということを心に留めておかなければならないと感じた。実際私は両国の学生と交流して日本のポップカルチャー、とりわけアニメの話で非常に盛り上がった。講義で学んだソフトパワーの概念を用いるとすれば、軍事力や経済力ではなく魅力によるアプローチを民間が進めていくことが必要で、その一手段としてアニメというコンテンツは大きな力をもっているように思った。また、語学面では中国語を一年間習っていたとはいえ、現地では全く聞き取れず自己紹介程度しかできなかったことが悔やまれた。これからさらに実用的な中国語を身につけるために来年度も学習を継続していきたいと思う。加えて、韓国語を習っている友人が現地の人と楽しそうに交流していたことから、自分も少しでも韓国語ができるようになりたいと思うようになった。これから先再び中国と韓国を訪れることを目標に、語学の勉強に励みながら両国の事柄に関心を持ち続けていきたい。

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